◆「一体改革」を具体化へ
厚生労働省は、政府の「社会保障と税の一体改革」の具体化に向けた作業を進めています。非正社員を厚生年金に加入させるために、労働時間や収入の条件を見直す方針です。
◆年収基準を引下げへ
「第3号被保険者」(夫が会社員や公務員である専業主婦)と認定する年収の基準を、現行(130万円)から引き下げる考えです。厚生年金保険料の算定に使う標準報酬の下限(月額9万8,000円)を下げることも検討しているようです。
現在、労働者の4割をも非正社員が占めるようになり、年金制度に歪みが生じています。非正社員が加入する国民年金の加入対象者としては、主に定年がない自営業者などが想定されており、厚生年金に比べて手取りが少額です。
◆厚生労働省による試算結果
しかし、厚生年金の適用拡大に伴い、企業の負担は増えます。
厚生労働省が2007年に実施した試算結果によれば、加入条件(労働時間)を「週30時間以上」から「週20時間以上」に拡大すると新たに約310万人が厚生年金の加入対象となり、企業の負担が年間約3,400億円も増えるそうです。
◆負担増となる主婦から反発も
厚生労働省が過去に実施した短時間労働者を対象とするアンケート調査によれば、年収130万円を超えると保険料の支払義務が発生するために「労働時間を減らしている」と回答した人が25%にも上ったそうです。
現行の年金制度が働き方を制限していると言えますが、差し引きで負担増となる主婦層などから反発が出ることも予想されています。