◆「過労死等発生事業場」への監督指導結果
東京労働局から、平成24年度に実施された、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させ労災申請が行われた事業場に対する監督指導結果の概要が公表されました。
対象となった93事業場の業種は、「交通運輸業」が最も多く、次いで「ソフトウェア・情報処理業」、「建設業」、「卸・小売業」の順で多くなっています。
また、企業規模としては、「10~49 人」が最も多く、次いで「100~299 人」、「10 人未満」、「300~999 人」の順となっています。
◆法違反の割合が90%
今回の結果から、過労死等を発生させた事業場では「労働関係法令違反」の割合が
90%と高く、被災労働者に対する健康管理体制の不備のある事業場も高い割合であることがわかりました。
違反の状況としては、不適切な労働時間管理(労働時間の違反、未払残業など)によるものが多くなっており、特に「三六協定」の取扱いが厳しく監督指導されているようです。
また、違反のあった事業場のうち半数以上で、1カ月の時間外労働が100
時間を超えるか、2カ月~6カ月の時間外労働が平均して月80時間を超えると認められたとのことです。
◆健康管理体制についての指導を強化
近年では、過重労働による健康障害を防止するためとして、衛生管理体制の不備についても重点的に指導が行われています。
内容は、健康診断の受診、有所見者への対応(医師等からの意見聴取、勤務軽減措置、保健指導)や、時間外・休日労働が多い労働者に対する医師による面接指導です。
これらの中には努力義務のものもありますが、適切に取り組んでいない場合、いざ過労死や精神疾患の発症等が起きた際には、訴訟等において企業は不利な立場に置かれることになります。
◆「ブラック企業」への取締りも
その他、社員が過重労働により亡くなってしまったり精神疾患等で業務に就けなくなったりすれば、その影響は社員の家族や他の社員に多大な負担を強いることになります。ひいては企業の社会的評価が低下するなど、経営自体にマイナスとなります。
また、いわゆる「ブラック企業」に対する集中的な指導監督も進められていますので、今後も行政による指導監督は強化されていくことと思われます。この機会に、健康的に働くことができ、会社経営にもプラスとなる労働時間管理について検討してみてはいかがでしょうか。