◆昨年末に特例法が成立、施行
昨年4月1日より改正労働契約法が施行され、いわゆる「無期転換ルール」が導入されました。
これにより、同一の使用者の下、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、労働者に「無期転換申込権」が発生することとなりましたが、パートタイマー等の有期契約労働者を無期雇用へと転換する動きもみられるなど、改正への対応が企業において進められていました。
ところが、昨年12月6日の参議院本会議で「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案」が可決・成立し、すでに一部は施行されています。
◆特例法の趣旨
この特例法は、大学の教員等で、5年を超えるようなプロジェクトに関わる有期契約労働者についても、5年経過時点で無期転換申込権が発生してしまうと、5年を超える前に契約を打ち切らざるを得ず、雇い続けることができないという現場からの声に対応して立案されたものです。
特例法により、一定の要件を満たす大学の教員等については、無期転換申込権にかかる年数要件が「10年」とされました。
◆さらなる改正に向けた動き
現在、厚生労働省の労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)において、高度な専門職に就く高収入の有期労働契約者で一定の期間内に終了すると見込まれる事業(オリンピックの開催準備等)に従事する者等について、5年経過時点で無期転換申込権が発生しないこととする「有期雇用の特例」作りが検討されています。
同省では、この結果を今年3月上旬までに労働契約法の改正案としてまとめ、1月24日に召集される通常国会に提出する方針です。
特例の対象には高年齢者も含まれる見通しですので、企業にとってはさらなる就業規則等の見直しが必要となる可能性もあることから、今後も動向を注視する必要があるでしょう。