◆行政の監督方針への影響も
次期通常国会では、安全衛生分野の法改正がありそうです。
このほど今後の労働安全衛生対策に関する報告書がまとまり、厚生労働省では、これから法案の作成に取り掛かるということです。報告書の中で取り上げられている事項は、行政の指導監督方針にも反映され、是正指導・勧告の内容にも変化があると思われます。
日頃の労務管理の見直しと併せて、法案の行方にも注視しておく必要がありそうです。
◆労働安全衛生法の改正事項(予定)
改正内容としては、以下の内容が取り上げられています。
(1)化学物質管理のあり方
(2)企業単位で安全・健康に対する意識変革を促進する仕組み
(3)欠陥のある機械等の回収・改善対策の強化
(4)第三者に施設等を使用させる管理者の安全衛生管理の充実
(5)企業における安全衛生管理体制の適正化(第三次産業の安全衛生管理体制の適正化)
(6)規制・届出の見直し
(7)職場におけるメンタルヘルス対策
(8)職場における受動喫煙防止対策
(9)型式検定等の対象器具の追加
◆影響が大きいと思われる事項
ここでは、次のものが、影響が大きいと思われます。
(2)企業単位で安全・健康に対する意識変革を促進する仕組み
重大な労災を繰り返す企業に対し改善計画の作成等が指示され、従わない場合は必要な勧告を行うことや企業名を公表する制度の創設が検討されています。
(4)第三者に施設等を使用させる管理者の安全衛生管理の充実
トラック運送業などにおいて、荷役作業中の労災発生が多いことを受け、荷役作業を行う施設を管理する荷主等にも取組みが必要であるとしています。
(5)企業における安全衛生管理体制の適正化
第三次産業(小売業、社会福祉施設等)の安全衛生管理体制の適正化が内容となっています。
また、廃案となった前回の法案に盛り込まれていた(7)も気になるところです。
(7)職場におけるメンタルヘルス対策
前回法案では、メンタルヘルス不調の予防のため、労働者のストレスチェック、申出をした者に対する医師の面接指導の実施を事業者に義務付ける内容でした。この前回の内容を踏まえつつ、各事業場の取組みも勘案し、制度化するとしています。