◆職場環境の整備が重要な課題に
近年、親や家族などの介護を理由として仕事を辞める「介護離職」が増加し、大きな問題となっています。
総務省の平成25年発表によると、介護離職する方は年間10万人以上。この中には、企業内で中核的な人材として活躍する方も少なくなく、こうした人材の離職を防止するために、労働者が「介護」と「仕事」を両立できる職場環境の整備が、企業にとって重要な課題となっています。
◆政府の対応
団塊世代が70歳代に突入する2017年前後からは介護離職者のさらなる増加が予測されるため、厚生労働省では、介護と仕事を両立できる職場モデルの普及に着手し、労働者の継続就業を促進しています。
具体的には、民間企業100社に報奨金を出し、同省が委託するコンサルティング会社が両立支援の制度化に向けた助言を行ってその結果を普及・啓発に活かすこと、また、介護離職防止のシンボルマークを制定して取組みの普及・推進を図ることなどが進められています。
◆企業ができること
このような動きの中、企業側も、介護と仕事の両立への支援を始めています。
例えば、介護情報をまとめたハンドブックの作成・配布、セミナーの開催、両立のモデルケースの情報発信……。
介護は、いつ誰が直面するかわからないからこそ、企業側から早めに働きかけ、情報を提供し、社員との間で問題意識の共有を図ることが重要な取組みとなると言えます。
社員にいざ介護の問題が発生した場合に慌てずに適切な対応をとることができるよう、取組みを始めるべき時期にきていると言えるでしょう。